長男の同居はなぜ?その起源と意味は??
[生活]嫁と、旦那の親、とのトラブルの話題は絶えません。
それまで全く違う価値観で、人生を歩んできた者同士が、
義理とはいえ、親子関係になるのですから、
そこに行き違いが生まれるのは、ある意味当然です。
一方が、それまで当然のことと思ってきたことでも、
他方にとっては、受け入れがたい価値観だった、
ということも、よくあることです。
お嫁さんが、旦那さんの親との同居に抵抗を感じるのも、
当然のことです。
何故長男が親と同居しないといけないの?
日本では、伝統的に長男が家を継ぐもの、という、
考え方があります。
本当に、そうなんでしょうか?
江戸時代までは、明確な相続法というものは、
定まっていなかったので、お家騒動が、
たびたび起こりました。
明治31年に民法が制定され、「家制度」
というものが規定され、この辺りから、
長男が家を継ぐもの、という考え方が定着しました。
改正前民法970条では、
-
1.直系卑属のうち、前戸主と親等が近い者
2.親等が同じ者は男子優先
3.親等と性別が同じ場合は嫡子優先
4.親等が同じ場合は性別よりも嫡子優先
5.前4号の条件が同じ場合には年長者優先
と規定され、事実上の「長男相続制」でした。
第二次大戦後、1947年の民法の改正で、
長男相続制は廃止されました。
法的には規制が無くなっても、その後も、
長男が家を継ぐもの、という考え方は残っています。
ただし、これが絶対的なものかというと、違います。
モンゴルの遊牧民の間では、末子相続が当たり前です。
チンギス・ハーンも、末子のトゥルイが、
後を継ぐものだと、思われていました。
実際には、第3子のオゴタイが帝国を継ぎましたが。
ですから、長男が家を継ぐ、という考え方が世界共通、
というわけではありません。
同居したくない長男の嫁の方へ
法的に、長男が相続する、という規定も、
無くなっていますから、長男が家を継ぐ、
という考え方も、特に義務ではありません。
そうは言っても、こういう考え方のご両親が多いのも、
事実でしょう。
ご兄弟がいれば、誰が同居するのが最適か、また、
本当に同居が必要か、も話し合われるのが、
良いかと思います。
普段の接し方も、重要です。最初に書いたとおり、
それまで違う価値観の元に暮らして来た方々です。
些細なことでも、行き違いは発生することでしょう。
どうしても、受け入れられないようなことがあれば、
それは、普段から、はっきりと伝えておくべきだ、
と思います。
そういった、相互の価値観の違いが日常的に
認識されていれば、同居したいかどうか、ということも
潜在的に意識されて行くのでは、ないでしょうか?
これだけ考え方が違うのだから、同居は難しい、
と思わせるのも、一つの手です。
嫌なものは嫌だ、と普段からはっきりと示せば、
「境界線」を引くこともできます。
何にせよ、旦那さんと意志の疎通をして、
同居に抵抗があることを、普段から伝えておくことが、
最も重要かもしれません。