坪単価を計算して土地価格の目安を持とう!
[生活]先月、会社の先輩のSさんが、
ご両親と住むための、バリアフリー二世帯住宅を
建てられました。
そろそろ、落ち着かれた頃だろうと、
会社の同僚たちと、お祝いもかねて
お宅を訪ねることに、なりました。
ひとしきり、お茶とケーキで歓談している時、
同僚のH子が、Sさんに話しかけました。
「先輩がご両親と、同居されるって聞いて、
自分もいずれは、親のことを考えなくっちゃ、
いけないなと、思うようになって。
ちらちらと、不動産のチラシなんかを
見るようになったんですけど、
土地の値段の見方が、さっぱり分からなくって。
なぜか、土地の広さに関係なく、
値段が、高かったり安かったり、
一体どういう基準で、価格がついているんでしょう?
先輩、教えてもらえませんか?」
「H子さん、『坪単価』ってしっている?」
「はい、一坪、つまり、
3.3平方メートル当たりの、
値段ですね。
同じ町内の土地の坪単価は、
大体同じくらいだろう、と思っていたら、
何万円も違っていたり、するんですよね。
どうなっているんでしょう?」
「私も最初は、疑問だらけだったわ。
それで、この家を設計してもらった
建築士さんに、色々教えてもらったの。
そのことを、少しお話しましょうかね?」
「先輩、よろしくお願いしまーす。」
私たちは声を合わせて、言いました。
「それじゃーまず手始めに、土地の値段は、
どうやって決まると思う?」
「???」
土地の値段を決める条件
「土地はよく『定価がない』と言われているけど、
当然、需要と供給のバランスの影響を受けるので、
人気がある土地は、価格も高くなるわ。」
先輩から聞いた、土地の価格を決める条件を、
まとめてみました。
〔価額が高くなる土地の条件〕
・角地であること。その中でも東南角地が、最も良い。
・土地に接する道路が南側にあること。
・容積率が高い土地であること。
(容積率とは、その土地の敷地面積に対する、
建物の延べ床面積の、割合のこと。)
・上下水道・ガスなどの施設が、整備されていること。
・土地に接する道路の条件が、良いこと。
・交通、買い物等の、利便性が良いこと。
・日当たりが良いこと。
〔価額が低くなる土地の条件〕
・土地に接する道路が北側にあること。
・土地が変形であること。
・土地に接する道路が狭いこと。
・土地に高低差があること。
・建築条件付土地であること。
(原則3ヵ月以内に、売主が指定した施工業者に
建築を依頼しなければならない、という条件が
つけられた土地のこと。)
・騒音、大気汚染、土壌汚染、悪臭など、
周囲の人から嫌われる施設などが、近隣にあること。
・交通、買い物等の、利便性が悪いこと。
・日当たりが良くないこと。
・測量・擁壁等・土工事など、
土地購入代金の他に、費用がかかること。
「同じ地域でも、東南角地の土地は、
北向きの土地より、価格が高くなるの。
最近では駅に近いなど、
交通の便が良い土地は、とっても人気が高いわ。
不動産会社は、様々な土地の条件、直近に扱った案件、
過去同じエリアで、取引された事例を
データとして、持っています。
これらを比較したうえに、
長年の「感覚」や「勘」を駆使して、
土地の値段を決める、と言われているわ。」
「でもそれじゃ、不動産会社がつけた値段が、
適正かどうか、素人には分からないって
言うことですか?」
「だれでも、購入しようとしている土地の価格が、
適性かどうかは、とても気になるわよね。
そういうときに参考になるのが、
『路線価』を使って、
土地の値段を、計算する方法よ。
市場で売買される、正確な価格が
分かるわけでは、ないけれど
『この地域は一坪当たり、大体このくらいの価格だ』
という目安を、付けることができるわ。」
路線価から坪単価を計算してみる
Sさんは、ノートパソコンを立ち上げながら、
説明してくれました。
「路線価とは、相続税・贈与税の対象となる
不動産の価値を、算出するための指標となる
価格のことよ。
国税庁の路線価図は、インターネットで
誰でも自由に、見ることができるの。
これが路線価図よ。(http://www.rosenka.nta.go.jp/)」
パソコンの画面を、私たちに見せながら、
調べたい土地の、県から市、町丁名を
次々とクリックしていきます。
図面上の『205C』と書かれた記号を示し、
この数字部分が、1平方メートル当たりの評価額を
千円単位で、表したものよ。
これに3.3をかければ、坪に換算できるわ。
「205,000×3.3=676,500円」
路線価は、市場で取引される価格の
7割~8割と、言われています。
仮に7割とすると、
「676,500÷0.7=966,428.・・・」
市場で取引される場合の、坪単価は、
約97万円と、なります。
これが基準の坪単価となります。
先程の、価格が高くなる条件・低くなる条件を、
地図などから判断し、この坪単価を調整して、
自分なりに、金額を算出していくのです。
更に路線価図は、当年分だけではなく、
前々年、前年も見ることができます。
下がってきているのか、上がってきているのか、
または横ばいなのか、といった価格の推移も、
確認することが、できますよ。
こうしてある程度、相場の目安をつけられれば、
不動産会社が付けている、土地の価格と、
比較することが、できますね。
差がある場合、その理由を効果的に、質問できます。
自分の知らなかった、その土地の良い点や悪い点を、
聞き出すことが、できるかもしれません。」
「なるほど。」
私たち一同、感心することしきりです。
「ところで、坪単価には土地の広さに関係して、
ちょっと、気をつけておかないといけない
ところがあるの。」
坪単価の注意点
「例えば、坪単価100万円として考えてみると、
25坪の土地の値段は2,500万円。
家が1,500万円とすると、合計で4,000万円。
これなら、普通のサラリーマンでも
何とか買える、金額でしょう。
ところが、50坪の広さだと、
土地だけで、5,000万。
家も、それなりの大きさになるから、
高くなるでしょう。
当然、50坪の土地を買おうという人は、
とても少なく、なりますね。
そうなると、買い手が付きにくいため、
値段(坪単価)を、下げざるをえません。
つまり、土地が広くなり、総額が大きくなるほど
坪単価は、低くなります。
逆に小さい土地は、総額が抑えられるため、
買いやすい物件として、人気があるため
坪単価は高くなる傾向があると、言われているの。」
「へぇー、そうなんですか。」
「でもね、土地を買う場合は、
価格ばかりに、目を向けていてはダメよ。
イイナと思う土地が、見つかったら
必ず現地を見に行く、ことが大切よ。
騒音や振動・悪臭の有無、交通量なんかは
実際に行かないと、分からないわよ。
できれば、朝夕など複数の時間帯、
天気の悪い日、さらに夏場・冬場に行ければ理想的よ。
その他にも、気にすべきことは、たくさんあるけど、
何より、信頼できる不動産屋さんを
見つけることを、お勧めするわ。
多くのお客が欲しがるような、優良物件は、
広告費をかけて、販促活動をしなくても売れるため、
不動産業者から、情報が出てきにくいそうよ。
このような情報を、得るためにも、
ぜひ、いい不動産屋さんに相談しながら、
納得のいく物件を、見つけてね。」
土地を買う、家を建てるというのは、
一生にそう何度もある、ものではない。
これまで「マンション暮らしでいいや」と
思っていた、私。
けれど、先輩のステキなお家を拝見して、
家を持つことを、考えてみるのも『アリかな』と、
ちょっと感じました。
先輩、ためになるお話を
どうもありがとうございました。